2025年11月 全国統一小学生テスト(小3)徹底分析:「思考力の壁」を超える力とは|府中市の教育複合施設CloverHill

Contents
- 1 はじめに:3年生が直面する「学力の分水嶺」
- 2 第1章:算数編 - 3年生で問われる「多段階思考力」
- 3 第2章:国語編 - 「長文読解」の壁を越える
- 4 第3章:テスト結果から見える「わが子の学力特性」
- 5 第4章:今日から始める「本質的学力」の育て方(3年生版)
- 6 第5章:3年生のテストが示す「これからの教育」
- 7 第6章:よくある質問(Q&A)
- 8 第7章:保護者が持つべき「長期的視点」
- 9 第8章:具体的アクティビティ集(3年生版)
- 10 おわりに:3年生は「思考力の芽」を育てる黄金期
- 11 付録:3年生で読んでおきたい本
- 12 記事作成者からのメッセージ
- 13 府中市の教育複合施設 CloverHill のご紹介
はじめに:3年生が直面する「学力の分水嶺」
お子様の全国統一小学生テスト受験、誠にお疲れ様でした。2025年11月3日に実施された小学3年生のテストは、多くの保護者の方が「こんなに難しいの?」と驚かれる内容だったのではないでしょうか。
実際の問題用紙を詳細に分析した結果、このテストは**「暗記型学習の限界」**を明確に示すものでした。計算ドリルを何百問解いても、漢字を何百字覚えても、このテストで高得点を取ることは困難です。
なぜなら、3年生のテストが測っているのは:
- 立体を多段階で操作し、追跡する空間認識力
- 複数の条件を同時に満たす論理的推論力
- グラフや図形から情報を読み取る分析力
- 長文の主題を深く理解する読解力
という、「考える力」そのものだからです。
本記事では、実際の問題一つひとつを丁寧に分析し、3年生のこの時期に本当に必要な学力とは何か、そして家庭でどう育てるべきかを、具体的にお伝えします。

東京都府中市府中市立府中第二小学校となり
教育複合施設Clover Hill
民間の学童保育・認可外保育園・20種以上の習い事
第1章:算数編 - 3年生で問われる「多段階思考力」
1-1. テスト構成:35分150点満点の戦略性
3年生の算数は試験時間35分、150点満点です。2年生より5分長くなりましたが、問題の複雑さは格段に上がっています。
時間配分の目安:
- 基礎計算問題(問1):5分以内で確実に
- 応用問題(問2〜8):1問3〜5分
- 見直し:最低3分は確保
この時間内に全問解くには、**「飛ばす判断」**も重要なスキルです。
1-2. 基礎計算:3年生で固めるべき土台
問1:3桁の計算と割り算
実際の出題問題:
- (1) 476 + 358 =
- (2) 7 × 7 =
- (3) 52 ÷ 6 = [ア]あまり[イ]
ポイント:
- 3桁の繰り上がり計算が暗算でできるか
- 九九が完璧に定着しているか
- **割り算の「商」と「余り」**の概念を正確に理解しているか
特に(3)の割り算は、3年生の最重要単元です。52 ÷ 6を:
- 52個を6人で分けると、1人あたり何個?(商)
- 何個余る?(余り)
という具体的な状況でイメージできることが重要です。
計算ミスの裏にある本質的問題
基礎計算でミスが多い場合:
- 単なる「ケアレスミス」ではない
- 位取りの理解が曖昧(100の位、10の位、1の位)
- 数の構造(476 = 400 + 70 + 6)が見えていない
- 暗算に頼りすぎて、筆算の手順が身についていない
対策は「速さ」ではなく「正確さ」を最優先することです。
1-3. 最重要分析:白黒つみ木の複雑配置問題(問3)
この問題こそ、3年生テストの最難関であり、最重要の問題です。
問題の構造
青色と黒色のつみ木を組み合わせて立体を作り、それを「前・右・上」の3方向から見たときの形を答える問題が出題されています。
問3の内容: 青色と黒色のつみ木を、合計のこ数がなるべく少なくなるように組み合わせて形を作る。図8のようになったとき:
- 青色のつみ木は全部で[ウ]こ
- 黒色のつみ木は全部で[エ]こ
さらに、図5と図6のような組み合わせも問われています。
この問題の難しさの本質
この問題を解くには:
- 3方向からの視点の統合
- 前から見た形
- 右から見た形
- 上から見た形
- これら3つの情報を頭の中で統合して、立体を再構築する
- 見えない部分の推論
- 前から見えている黒いブロックの裏に、何があるか?
- 上から見えない部分に、何が隠れているか?
- 最小限の個数という制約から、必要最小限の配置を導く
- 「なるべく少なく」という最適化思考
- 同じ見え方でも、ブロックの配置方法は複数ある
- その中で「個数が最も少ない」組み合わせを見つける
- これは単なる算数ではなく、論理パズル・最適化問題
つまずきパターンと対策
パターンA:3方向の情報が統合できない → 実際のブロックを使って、同じ形を作る練習。親が「前から見て」「横から見て」と声をかけながら、視点を変える訓練をする。
パターンB:見えない部分が想像できない → 「この黒いブロック、裏側は何色だと思う?」と問いかけ、推論の訓練をする。正解より「考える過程」を重視する。
パターンC:「最小限」の意味が理解できない → 「同じ形を作るのに、もっと少ない数でできないかな?」と一緒に考える。最適化思考は、日常の「無駄をなくす」発想と結びつける。
1-4. 買い物の複雑な計算問題(問2-1)
問題文: 「ひめる君は1000円きっをもって、おまつりに行きました。1本300円のフランクフルトを2本と、1本200円のジュースを1本買うと、何円のこりますか。次から1つ選びなさい。ただし、消費税は考えないものとします。」
この問題の思考プロセス
ステップ1:必要な金額を計算
- フランクフルト:300円 × 2本 = 600円
- ジュース:200円 × 1本 = 200円
- 合計:600円 + 200円 = 800円
ステップ2:残金を計算
- 1000円 - 800円 = 200円
一見簡単に見えて、実は高度な問題
この問題でつまずく子どもは:
- 文章を「全部読まない」(「2本」を見落とす)
- 「×」と「+」を順番に使う意識がない
- 「のこり」が引き算だと気づかない
重要なのは:
- 問題文を最後まで正確に読む習慣
- 計算の手順を言語化する力(「まず〜、次に〜」)
- 「何を求めているか」を常に意識する力
1-5. 数の目盛り読み取り問題(問2-2)
「数がかかれた目もりがあります。アはいくつをあらわしますか。次から1つ選びなさい。」
9000と10000の間の目盛りを読み取る問題です。
この問題が測る本質的能力
- 数直線の概念理解
- 等間隔の認識(9000と10000の間を何等分しているか)
- 概数の感覚(9500あたり、9600あたりという見当づけ)
3年生は「大きな数」を学ぶ学年です。1000、10000という数を、具体的にイメージできているかが問われます。
1-6. 立体図形:サイコロの組み立て(問8-3)
問題文: 「サイコロの向かい合った面の目の数の合計は7になっています。いま、向こう側にあるサイコロを合わせた4このサイコロを右のようにつくえの上においました。重なっている面と面の目の合計が、どこも8になるようにするのには、次から1つ選びなさい。ただし、4このサイコロの目のつけ方はどれも同じです。」
この問題の複雑さ
- サイコロの性質の理解
- 向かい合う面の合計が7(1-6、2-5、3-4)
- 「重なっている面」の認識
- 4個のサイコロが接触している面を特定
- 制約条件の理解
- 重なる2つの面の目の合計が、すべて8になる
- 逆算と試行錯誤
- 「8になる組み合わせ」は(1,7)(2,6)(3,5)(4,4)
- しかしサイコロには7がないので、実際は限定される
- 各面の配置を論理的に導く
この問題は、中学受験の立体図形問題の入門レベルです。
1-7. クイズゲームの論理問題(問8-1)
問題の概要: あきら君、かなさん、ささえさんの3人がクイズゲームをしました。
ルール:
- 1回戦ごとにクイズは5問出されます。これら5問のクイズに○か×で答えます。
- 1問正かいするごとに1点がもらえて、まちがえると1点ももらえません。
- 5問のクイズが終わったところで合計点数を出し、合計点数が1番高い人が勝ちになります。また、合計点数が1番高い人が2人いたときは、その2人とも勝ちとします。
1回戦目の結果表が示され、「Aが答えているクイズは何問目ですか」という問題。
この問題が測る「論理的推論力」
- 5回の○×の組み合わせから、合計点を逆算
- 「Aが答えている」=「全員の答えが異なる」問題を特定
- 表から条件に合う問題を見つける消去法
このような論理パズルは:
- 情報整理能力
- 仮説検証能力
- 条件を満たすものを探す能力
を総合的に測ります。これは算数というより、プログラミング的思考に近い問題です。
1-8. 正三角形の個数を数える問題(問8-4)
「1つの辺が1cmの正三角形をいくつかならべて作った形の中には、正三角形は全部で何こありますか。」
この問題の難しさ
- 小さい正三角形(1cmの辺):すぐに数えられる
- 中くらいの正三角形(2cmの辺):見落としやすい
- 大きい正三角形(3cmの辺):気づきにくい
- 逆向きの正三角形:最も見落としやすい
この問題は:
- 視点を変える柔軟性
- 体系的に数える力(規則性を見つける)
- 見落としを防ぐ注意力
を測ります。「適当に数える」のではなく、「規則的に数える」訓練が必要です。
1-9. 長方形と円の組み合わせ図形(問4)
長方形の中に円が複数入っている図形について、辺の長さや半径を求める問題です。
この問題で問われる能力
- 図形の性質の理解(円の直径と半径の関係)
- 補助線を引く発想(見えない線を想像する)
- 関係性を読み取る力(AとBの長さの関係)
3年生から本格的に始まる「図形」の単元。この問題ができるかどうかで、今後の図形問題への適性が見えてきます。
1-10. グラフの読み取り問題(問5)
問題文: 「右のグラフは、3年1組の生徒が夏休みに読んだ本の冊数をまとめたものです。たとえば、3さつ読んだ生徒は10人います。また、4さつ読んだ生徒の人数はグラフにはかかれていなくて、6さつより多く読んだ生徒はいませんでした。これについて、次の問いに答えなさい。」
(1) 夏休みに本を6さつ読んだ生徒は何人ですか。 (2) 3年1組の生徒が夏休みに読んだ本の冊数の合計は115さつでした。このとき、3年1組の生徒は全部で何人ですか。
この問題の高度さ
第一段階:グラフを正確に読む
- 各冊数の人数を読み取る
- 「かかれていない」=不明な情報を認識
第二段階:逆算で求める
- 合計115冊から、既知の情報を引いていく
- 残りから「4冊読んだ人数」を導く
- さらに「全体の生徒数」を計算
この問題は:
- グラフ読解力
- 複数ステップの計算
- 未知数を求める代数的思考
を同時に要求する、3年生としては極めて高度な問題です。
第2章:国語編 - 「長文読解」の壁を越える
2-1. テスト構成:35分150点満点の読解力勝負
3年生の国語も35分150点満点です。配点の大部分は物語文の長文読解に割かれており、漢字や語彙の基礎問題は比重が小さくなっています。
つまり、読解力がすべてを決める構成です。
2-2. 物語文:長文からの深い読解
3年生の国語では、かなり長い物語文が出題されます。ページ数も多く、登場人物の心情や、物語の展開を正確に追う必要があります。
求められる読解力のレベル
1年生・2年生との違い:
- 1〜2年生:短い文章で、明示的な情報を読み取る
- 3年生:長い文章で、暗示的な情報を推論する
例えば:
- 「〜と言いました」→ このとき、どんな気持ちだった?(書いていない)
- 「〜しました」→ なぜそうしたのか?(書いていない)
- 物語全体→ 作者が伝えたいことは何か?(書いていない)
2-3. 主題把握問題:物語の核心を読み取る
3年生でも、「この物語が伝えたいこと」を問う問題が出題されます。
複数の子どもの感想から、最も物語の主題を捉えている感想を選ぶ形式です。
3つの感想の典型パターン
タイプA:事実の羅列 「〜して、〜して、〜しました」 → 起こった出来事は理解しているが、意味は読み取れていない
タイプB:部分的な印象 「〜のところが面白かった」「〜がすごいと思った」 → 印象に残った場面には注目しているが、全体の主題は見えていない
タイプC:主題の理解 「〜は、○○の大切さを伝えたかったのだと思います」 → 物語全体を俯瞰し、作者の意図を読み取っている
正解はタイプCです。
この違いを見抜けるかどうかが、国語力の本質を示します。
2-4. 心情理解:「なぜそう思ったか」を読み解く
登場人物の行動や言葉から、その裏にある心情や理由を読み取る問題が多数出題されます。
つまずく子どもの典型的な読み方
- 表面的な出来事だけを追っている
- 「何をしたか」は分かるが、「なぜしたか」が分からない
- 自分の経験と結びつけて想像できない
できる子どもの読み方
- 登場人物の視点に立って考える(「自分だったら」)
- 前後の文脈から気持ちを推測する
- 「この行動は、こういう気持ちの表れだ」と解釈できる
この違いは、共感力と想像力の違いです。

東京都府中市府中市立府中第二小学校となり
教育複合施設Clover Hill
民間の学童保育・認可外保育園・20種以上の習い事
第3章:テスト結果から見える「わが子の学力特性」
3-1. 算数のパターン別分析(3年生版)
パターンA:基礎計算は完璧、応用問題で全滅
特徴:
- 問1の計算問題は全問正解
- しかし立体問題、論理問題、グラフ問題で得点ゼロ
原因:
- 「教わった手順通りに解く」訓練しかしていない
- 「自分で考える」経験が圧倒的に不足
- ドリル中心の学習に偏っている
対策:
- ドリルを減らし、「考える問題」に時間を使う
- パズル、ボードゲーム、ブロック遊びを推奨
- 「なぜそうなるの?」と問いかける習慣
パターンB:応用問題はできるが、計算ミスが多い
特徴:
- 難しい問題の考え方は合っている
- しかし計算ミスで失点
原因:
- 思考力は育っているが、基礎の自動化が不十分
- 「考えること」に集中しすぎて、計算が雑になる
対策:
- 毎日5分の計算練習(少量でOK)
- 「見直し」の習慣を徹底
- 筆算の手順を丁寧に確認
パターンC:立体問題だけ全くできない
特徴:
- 平面図形や文章題はできる
- しかし立体図形になると全く解けない
原因:
- 空間認識能力が未発達
- 実物を操作する経験が不足
- 「頭の中でイメージする」訓練をしていない
対策:
- レゴ、マインクラフト、積み木で遊ぶ
- 工作、折り紙で立体を作る
- 「これを回したらどう見える?」と日常的に問いかける
3.2. 国語のパターン別分析(3年生版)
パターンD:文章は読めるが、主題が分からない
特徴:
- 事実問題(「誰が何をした」)は正解できる
- しかし「なぜ」「どんな気持ち」「伝えたいこと」が分からない
原因:
- 表面的な読み方に留まっている
- 「作者の意図」を考える経験がない
対策:
- 読書後に必ず「なぜこの話を書いたと思う?」と聞く
- 親自身が感想を語って見せる
- 「もし自分だったらどうする?」と想像させる
パターンE:読むのが遅く、時間が足りない
特徴:
- 読解力はあるが、時間内に終わらない
- 丁寧に読みすぎている
原因:
- 音読中心で、黙読の訓練が不足
- 「速く読む」経験が少ない
対策:
- 毎日10分の黙読タイム
- 「3分で読んでみよう」と時間を意識させる
- 要点だけを拾い読みする訓練
第4章:今日から始める「本質的学力」の育て方(3年生版)
4-1. 算数:「実物×対話」で思考力を育てる
具体的実践法1:立体パズルで空間認識力を鍛える
おすすめの遊び・教材:
- ルービックキューブ(初心者向けの2×2から)
- タングラム(7つのピースで形を作る)
- 立体四目並べ(3次元の思考訓練)
- マインクラフト(ゲームだが、立体認識力が育つ)
遊び方のコツ: 「できた!」で終わらせず、**「なぜそうなる?」**と問いかける。
具体的実践法2:「図や表で整理する」習慣
複雑な問題に出会ったら、必ず:
- 問題文を図に描く
- 表を作って情報を整理
- 分かっていることと、分からないことを区別
この「可視化」の習慣が、論理的思考の土台になります。
具体的実践法3:「教えて先生」ごっこ
子どもが「先生」になって、親に教える遊びをしましょう。
「この問題、どうやって解いたの?お母さんに教えて」
人に教えることで、理解が深まり、言語化能力も育ちます。
4-2. 国語:「深く読む」習慣を作る
具体的実践法1:「3段階読書法」
第1段階:事実を確認 「誰が、何をした?」(表面的理解)
第2段階:理由を考える 「なぜそうしたの?」(深い理解)
第3段階:主題を考える 「この話は、何を伝えたかったの?」(本質的理解)
毎回この3段階を繰り返すことで、深く読む習慣が身につきます。
具体的実践法2:「登場人物新聞」を作る
物語を読んだ後、登場人物の気持ちや変化を「新聞」にまとめる遊び:
【主人公インタビュー】
「あのとき、どんな気持ちでしたか?」
【解説コーナー】
「この物語が伝えたいこと」
このように「外から見る視点」を持つことで、客観的な読解力が育ちます。
具体的実践法3:親子で「感想交換会」
本を読んだ後、親子で感想を言い合う時間を持ちましょう。
ポイント:
- 正解を求めない
- 「お母さんはこう思ったよ」と親の意見も伝える
- 「なるほど、そういう見方もあるね」と子どもの意見を尊重
多様な視点があることを知ることが、思考を深めます。
第5章:3年生のテストが示す「これからの教育」
5-1. 「詰め込み教育」の完全な終焉
3年生のテストを見て明らかなのは、計算ドリルを何百問解いても、立体問題は解けない。漢字を何百字覚えても、主題は読み取れない。
必要なのは:
- 実物を触って試行錯誤する体験
- 「なぜ?」と考え続ける習慣
- 失敗から学ぶ経験
- 深く読み、深く考える時間
つまり、**「量」ではなく「質」**の時代が来ています。
5-2. AI時代に必要な「人間にしかできない力」
ChatGPTやAIが計算や情報検索をする時代、人間に求められるのは:
- 問題を発見する力(何が問題かを見つける)
- 複数の情報を統合する力(バラバラの情報をつなげる)
- 創造的に解決する力(新しい方法を生み出す)
- 他者と協働する力(人の気持ちを理解し、共に働く)
全国統一小学生テストは、まさにこれらの力を測っています。
5-3. 3年生は「学力の分水嶺」
1〜2年生:基礎を積み上げる時期 3年生:「考える力」が本格的に問われ始める時期 ← 今ここ 4〜6年生:思考力の差が圧倒的な差になる時期
3年生の今、どのような学習をするかで、その後の学力の伸びが決まります。
第6章:よくある質問(Q&A)
Q1. 3年生でこの難易度は適切ですか?中学受験を前提としていませんか?
A: その通りです。このテストは中学受験を視野に入れた子ども向けの内容です。
しかし、中学受験をしない場合でも、このテストで測られている「思考力」は、高校受験、大学受験、さらには社会に出てからも必要な能力です。
点数に一喜一憂するのではなく、「わが子の得意・不得意を知る機会」として活用してください。
Q2. 立体問題が全くできませんでした。どうすればいいですか?
A: 3年生で立体問題が苦手なのは、決して珍しくありません。
今日から始められること:
- レゴやブロックで毎日10分遊ぶ
- 折り紙で立体を作る
- 「これを回したらどう見える?」と日常で問いかける
- マインクラフトなどの3Dゲームも有効
半年続ければ、必ず変化が現れます。
Q3. グラフや論理問題が苦手です。これは才能の問題ですか?
A: 絶対に違います。これらは**「訓練で身につく技能」**です。
家庭でできる訓練:
- 家族でボードゲーム(将棋、オセロ、人生ゲーム)
- 推理クイズやなぞなぞ
- 「もし〜だったら、どうなる?」という仮定の話
遊びながら、論理的思考が育ちます。
Q4. 国語の長文が読めません。読むのが遅いのですが、どうすればいいですか?
A: 3年生から本格的に「長文」が始まるので、戸惑うお子様は多いです。
段階的な訓練法:
- 短い文章から始める:最初は1ページ程度の短い物語
- 毎日10分の黙読タイム:音読より黙読の方が速く読める
- 時間を意識する:「3分で読んでみよう」とタイマーを使う
- 要約の練習:「3行で説明して」と要点を掴む訓練
焦らず、3ヶ月かけて徐々にスピードを上げていきましょう。
Q5. クイズゲームの論理問題など、全く手が出ませんでした。どこから始めればいいですか?
A: あの問題は、3年生としては最高難度です。できなくて当然です。
しかし、このような論理パズルは、今後の算数・数学の核心となる能力です。
家庭でできる論理力トレーニング:
- ナンプレ(数独):初級から始める
- 論理パズル本:書店の「考える力」コーナーで探す
- 推理ゲーム:「犯人は誰だ?」系のボードゲーム
- プログラミング:Scratchなどの子ども向け言語
特にプログラミングは、「条件分岐」「論理演算」など、論理力を育てる最高の教材です。
Q6. 中学受験を考えていますが、このテストの結果をどう見ればいいですか?
A: このテストの結果は、中学受験における現在の立ち位置を示す良い指標です。
結果の見方:
- 偏差値60以上:難関校を目指せる素地がある
- 偏差値50〜60:中堅校〜上位校を目指せる。思考力をさらに伸ばす必要あり
- 偏差値50未満:基礎の定着と、思考力の土台作りに時間をかける
ただし、3年生11月時点の結果は、あくまで「現在地」です。4〜5年生でどれだけ伸びるかは、今からの学習の質で決まります。
Q7. 塾に通わせるべきでしょうか?
A: 3年生の段階では、塾より家庭学習が重要です。
塾に行くべきケース:
- 親が教える時間が全く取れない
- 本格的に中学受験を目指す(4年生2月から開始が一般的)
- 集団の中で競争することで伸びるタイプ
家庭学習を優先すべきケース:
- まだ「考える力」の土台が育っていない
- 親子の対話時間を確保できる
- 実物を使った体験学習ができる
**重要なのは「塾か否か」ではなく、「考える時間を確保できているか」**です。
第7章:保護者が持つべき「長期的視点」
7-1. 3年生の今、点数より大切なこと
テストの点数に一喜一憂するのは、人間として当然の感情です。しかし、教育の専門家として、あえてお伝えします。
3年生の11月時点での点数は、お子様の将来を決定しません。
今、本当に大切なのは:
- **「考えることが楽しい」**と感じられているか
- 失敗を恐れず挑戦できているか
- 「分からない」を「知りたい」に変えられるか
- 親子で学びの対話ができているか
これらの「学びの姿勢」が育っていれば、学力は後からついてきます。
7-2. 「今できないこと」は「未来の伸びしろ」
立体問題ができなかった。 論理問題が手も足も出なかった。 長文が最後まで読めなかった。
これらは、「今」の結果に過ぎません。そして、**「未来の伸びしろ」**でもあります。
10年後、20年後のお子様の姿を想像してください。
その時、「3年生の11月のテストで○点だった」ことは、何の意味も持ちません。
しかし、「3年生の時に、親と一緒にブロックで遊んだ」「本を読んで、感想を語り合った」という体験は、お子様の人生の宝物になります。
7-3. 「比べない」「焦らない」「信じる」
お子様の成長には、独自のペースがあります。
比べる相手は:
- ×他の子
- ×平均点
- ○昨日のわが子
焦るのではなく:
- 長期的視点を持つ
- 「今日一つ、成長した」を見つける
- 小さな進歩を喜ぶ
信じること:
- お子様の可能性
- 学びの力
- 時間の魔法
3年生の今、種を蒔きましょう。その種は、必ず芽を出します。
第8章:具体的アクティビティ集(3年生版)
算数:空間認識力を育てる遊び
1. 積み木コピーゲーム
- 親が積み木で形を作る(子どもには見せない)
- 言葉だけで説明して、子どもに同じものを作らせる
- 「右に2個、その上に1個」など、言語化の訓練にもなる
2. 影絵クイズ
- ブロックで形を作り、懐中電灯で影を作る
- 「この影は、どの形から作られた?」と当てる
- 光と影の関係、投影の概念を学ぶ
3. 断面図チャレンジ
- 野菜や果物を切る
- 「輪切り」「縦切り」で断面がどう変わるか観察
- 立体の断面という高度な概念を、実体験で学ぶ
4. レシートで算数
- 買い物のレシートを見て、合計を予想
- 「300円のものを3個買ったら?」と暗算
- 消費税の計算(3年生には難しいが、「10%は10個に1個分」という感覚を育てる)
国語:読解力を育てる習慣
1. 物語マッピング
- 読んだ物語を、図にまとめる
- 中央に「主人公」、周りに「出来事」「気持ち」を書く
- 物語の構造を可視化する訓練
2. 続きを書こうゲーム
- 物語の途中で読むのをやめる
- 「この後どうなると思う?」と続きを考えさせる
- 想像力と、物語の展開を予測する力が育つ
3. 登場人物に手紙を書く
- 「主人公へ:あなたの行動は素晴らしかったです。なぜなら〜」
- 手紙を書くことで、登場人物の視点に立つ訓練
4. 要約トレーニング
- 読んだ本を「3行」で説明
- 次は「1行」で説明
- 要点を掴む力が、読解スピードを上げる
両教科共通:思考力を育てる日常習慣
1. 「不思議発見」日記
- 毎日一つ、「不思議だな」と思ったことを書く
- 「なぜ雲は浮いてるの?」「なぜ月の形が変わるの?」
- 疑問を持つ習慣が、探究心を育てる
2. 家族会議ゲーム
- 「今度の旅行、どこに行く?」を家族で議論
- 子どもにも意見を言わせ、理由を説明させる
- 論理的に主張する訓練
3. 間違い探し習慣
- テストの間違いを「宝探し」として扱う
- 「なぜ間違えたか」を一緒に分析
- 「次はどうする?」と改善策を考える
4. 「今日の学び」シェアタイム
- 夕食時に「今日、何を学んだ?」と聞く
- 学校の授業でも、遊びの中でもOK
- 学びを言語化する習慣
おわりに:3年生は「思考力の芽」を育てる黄金期
全国統一小学生テスト3年生の問題を徹底分析して分かったことは、このテストが**「暗記型学習」と「思考型学習」を完全に分離する**ものだということです。
1〜2年生までは、どちらのアプローチでもそれなりに点数が取れました。しかし3年生から、その差は決定的になります。
立体を多段階で操作できるか。 複数の条件を統合して推論できるか。 グラフから情報を読み取り、逆算できるか。 物語の主題を、自分の言葉で語れるか。
これらは、ドリルを何百ページやっても身につかない能力です。
必要なのは:
- 実物を触る体験
- 試行錯誤する時間
- 失敗から学ぶ経験
- 深く考える習慣
- 親子の対話
テストは「今」を映す鏡、家庭は「未来」を育てる畑
このテストは、お子様の「今この瞬間」の学力を映す鏡です。
しかし、家庭は、お子様の「10年後、20年後」を育てる畑です。
今日から始めてください。たった一つでいいのです:
- 夕食後に10分、本を読んで感想を語り合う
- 週末にブロックで一緒に遊ぶ
- 買い物で「合計いくら?」と一緒に考える
- 寝る前に「今日の学び」を話す
その小さな習慣が、1年後、5年後、10年後に、圧倒的な学力の差を生み出します。
最後に:お子様の無限の可能性を信じて
3年生の脳は、まだまだ成長の真っ最中です。
今できないことは、恥ずかしいことではありません。 それは、これから伸びる余地があるということです。
大切なのは:
- 今の結果で判断しないこと
- お子様の小さな成長を見逃さないこと
- 「できた!」を一緒に喜ぶこと
- 失敗を「学びのチャンス」に変えること
そして何より、お子様の可能性を信じ続けること。
全国統一小学生テストは、年に2回のイベントに過ぎません。
しかし、家庭での毎日の体験と対話は、365日続く教育です。
お子様の輝かしい未来を、心から応援しています。
付録:3年生で読んでおきたい本
思考力を育てる本
論理パズル系:
- 『天才ドリル 立体図形が得意になる点描写』(認知工学)
- 『算数と国語を同時に伸ばすパズル』(宮本哲也)
- 『賢くなるパズル』シリーズ(宮本哲也)
読み物:
- 『エルマーのぼうけん』シリーズ(ルース・スタイルス・ガネット)
- 『モモ』(ミヒャエル・エンデ)※少し長いが、名作
- 『チョコレート工場の秘密』(ロアルド・ダール)
科学的思考を育てる本
- 『ざんねんないきもの事典』シリーズ(高橋書店)
- 『科学のアルバム』シリーズ(あかね書房)
- 『どっちが強い!?』シリーズ(KADOKAWA)
親が読むべき教育書
- 『「学力」の経済学』(中室牧子)
- 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子)
- 『9歳までに地頭を鍛える! 37の秘訣』(陰山英男)
記事作成者からのメッセージ
本記事は、2025年11月3日実施の全国統一小学生テスト(小学3年生)の実際の問題用紙に基づき、一問一問を詳細に分析して作成しました。
3年生のテストは、1〜2年生とは次元の異なる「思考力」が問われます。しかし、それは決して「特別な才能」ではなく、日常の中で育てられる力です。
お子様一人ひとりに、独自の成長のペースがあります。このテストの結果を、他者との比較ではなく、お子様の個性を知り、最適なサポートをするための材料として活用していただければ幸いです。
個別のお子様の状況に応じた具体的なアドバイスは、教育の専門家(塾の先生、学校の先生、教育カウンセラー)にご相談されることをお勧めします。
お子様の学びの旅が、喜びに満ちたものでありますように。
一人ひとりの特性や成長ペースは異なります。本記事の内容は一般的な指針として参考にしていただき、個別の判断は保護者の方ご自身で行ってください。
府中市の教育複合施設 CloverHill のご紹介
CloverHill は、東京都府中市にある幼児から小学生までを対象とした多機能な学びの場です。府中市内で最多の子ども向け習い事を提供し、ピアノレッスン、英語、プログラミング、そろばんなど、子どもたちの好奇心を引き出し、創造力を育む多彩なカリキュラムを展開しています。
また、民間学童保育や放課後プログラムも充実しており、学びと遊びのバランスを大切にした環境の中で、子どもたちの健やかな成長をサポート。さらに、認可外保育園として未就学児向けの安心・安全な保育サービスを提供し、共働き家庭の子育てを支援しています。

東京都府中市府中市立府中第二小学校となり
教育複合施設Clover Hill
民間の学童保育・認可外保育園・20種以上の習い事
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投稿者プロフィール

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**Clover Hill(クローバーヒル)**は、東京都府中市にある教育複合施設です。市内最大級の広々とした学童保育、認可外保育園、子供向け習い事数地域No.1を誇る20以上の多彩なプログラムを提供し、子どもたちの学びを総合的にサポートします。
多彩なレッスンの情報や子育て情報を発信しています。
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